生きていた嫉妬心

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大坂の河内に住む裕福な妻が長患いの末に亡くなってしまった。裕福な家らしく盛大な葬儀が行われ本願寺から来た僧たちが一斉に読経した。その夜は亡者の柩の置かれた部屋で僧たちが休んだ。
夜中になると小雨まじりの風が吹き柩が揺れ、仏前の灯が消えてしまった。真っ暗闇の中で何かが動き出す気配があり、眠っていた僧たちの中で一人だけその気配を感じ、恐れていた。

翌朝、家の主が、りんという女中を呼んだがいくら呼んでも返事がない。柩の置かれた部屋に行ってみると僧たちが青ざめていた。棺桶の縄が切れて、蓋がわずかにずれていたのだ。
恐る恐る蓋を開ければ、りんの首がその中にあった。髪の毛を掴む格好で亡者の手に握られている。
主は亡き妻が、若くて美しいりんに尋常ならぬ嫉妬心を抱いていたことを思い出した。

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