化け物

オバケ沢

場所は神奈川県愛甲郡にある。

大正時代、狂った女が髪を振り乱し、破れた着物を着てこの沢をさまよっていた。女は山にある蛇やトカゲなどを食べて何とか生きながらえていた。
しかし、その日暮らしの生活のため風呂に入るでもなく髪はボウボウと伸び、その姿は見るに耐えないほど醜く怖ろしい姿であった。その姿を見て里の人たちは「あの沢には化け物が住んでいる」と噂し、女をバケモノ呼ばわりするところから、この地名がついたという。
女は里の者から「オバケ」と呼ばれたことにたいそうショックを受け、思い余って投身自殺をしてしまった。

 

[参考文献:本当は怖い日本の地名]

化け物に骨をぬかれし人の事

  京都の七条河原(古代は死体遺棄地であり、のちに庶民の墓地となった)に化け物が出ると言い伝えられていた。
若い男どもが、金を賭けて一人で夜中にその墓所へ行って紙を杭に打ち付けて帰ってこようとした。
その時、80歳ぐらいで白髪で顔は白くやつれていたが、背は2mほどあり眼は手のひらに一つあり、前歯二つをむき出してこの男を目がけて追いかけてくる。
男は、肝をぬかして近所の寺へ逃げ込み「助けて下さい」と僧に頼んだ。
僧は長持(※1)を開けその中へ男を入れた。そのうちその化け物が寺へ追いかけてきて、つくづくと見まわしその長持のところで犬の骨をかじって食べる音がしたけれども、僧もあまりの怖さに屈んで見ておられず、しばらくして化け物も帰ったことであろうとそれならばと長持を出して蓋を開ければ男は骨を抜かれ、皮だけになっていたという。

※1 衣類や調度などを入れる蓋のある長方形の箱。大体2.6mほど
[参考文献:諸国百物語]

伊賀の化け物の事

慶長(1596~1615)のころ、伊賀の国(三重県北西部地域)で、ある侍の屋敷に不思議な事があった。
夕暮れになると、玄関の前を美しい女が衣を頭から被って歩いてたり、また首がなく胴だけがあるいてたりした。
またある時は昼時分に、台所の屋根から女と大きな坊主が煙だし(※1)から覗く事もあった。
また白い帷子の着物を着た女がきて髪をざんばらにして4~5人連れて踊る事もあった。
こういう事が多くあったのでこの屋敷の人は出て行った。
今はこのような事もないけれど、昔のことを聞き伝わって誰も住まなくなってしまった。

※1 煙を出すための屋根の穴

[参考文献 諸国百物語]