死ぬ

影の病

北勇治という人が、外から帰ってきて自分の部屋の戸を開けてみれば、机によりかかる人がいた。
「誰だろう、私が留守にしていていたにもかかわらず、室内に立て籠もって」
見ていると、ものなれた様子で不思議に見ていると、髪の結い方や衣類、帯にいたるまで自分が常に着ているものにて、自分の後ろ姿は見たことはないけれど寸分違わず自分だと思った。あまりにも不思議なので顔を見ようとツカツカと歩み寄ると、向こうの方へ行き障子が細く開いてる所から縁の先へ走り出した。追いかけて障子を開けてみたが、もうどこかへ行って姿も見えなかった。
家内にその様子を語ったら母親は物も言わず眉をひそめていた。
しばらくして勇治が病気になり、その年のうちに亡くなってしまった。
これはいわゆる「影の病」というものである。
祖父も父親も自分の後姿を見て死んでしまった事は母親や家来は知っていた。だが縁起でもない事なので本人には語らなかったので知らなかった。
勇治の妻は2歳の男子とともに後家となってしまった。

  件とは生まれてすぐ予言をし、間もなく死んでしまうという。
九州や四国付近の農家などで牛が生まれると、突然その子牛が「2~3日中にどこどこの家が火事になる」と話す。

その後本当にその家が火事になり、急いで子牛の元へ行ってみるとすでに亡くなっているという。

昔は長老のようななんでも知っている人がいたので聞いてみると「それは件(くだん)というものである」と教えてくれる。

※戦後にもあったというが古典文学にも載っているのでそちらのほうとして扱う。
小松左京氏の小説にも件の話がある。