猫の転生

大坂の北に大運という禅僧がいた。日頃飼っていた猫が寛文10(1670)年9月22日に犬に食い殺されてしまった。
僧は不憫に思い「お前は畜生だから成仏は難しい。獣の中の第一は虎であるから今度は虎に生まれ変われよ」と葬った。

それから13年が経って同月同日の禅僧の夢にその猫が現れ「お示しにより、私は虎に生まれ変わりました」と告げたという。

猫の自殺

大坂の博労の鍛冶屋八兵衛の妻は病気が重くて、とうとう亡くなってしまった。
死期が近づいた頃、長い事飼っていた猫が布団のあたりを離れずにいたが病人が「私はまもなく死ぬ。死んだあと、お前を可愛がってくれる人もおるまい。どこへでも行ったらよい」と言うと猫はしょんぼりと傍にいた。

病人が死んで野辺送りの時その猫は柩の後ろからついてきた。人が追い返すと猫は家に帰り、舌を食い切って死んでしまった。
貞享2(1685)年10月28日のことである。